オーディオバランス伝送 送受信変換機の制作

電子工作記録
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背景

PCと電子ドラムの配置の都合上距離があり、そこそこのノイズが入ってきます。
大音量でプレイ中であればあまり気にしないことはできますが、無音時などは割と耳障りなレベルです。
配置的には下図のような感じです。

赤線部分が問題のオーディオラインで安物のオーディオケーブルで繋いだらノイズの酷いこと!
流石にこの距離だとノイズが容赦なく入ってくるようで、
↓のようなチョットイイやつに変えることでマシにはなって、かろうじて使える程のノイズ音量にはなりましたが、やはり更に改善したいところです。

Amazonベーシック RCAオーディオケーブル スピーカー用 7.6m(3.5mmオス - 2RCAオス)ブラック
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要件・対策案

まず音楽ゲームユースの都合上、遅延は極力抑えたい。
なので無線はNG。

あと考えられるのは光デジタル。
単に1系統から音出すだけならこれで良いのですが、2系統(机側のスピーカーとドラム側のスピーカーorヘッドホン)から同時に音を出したいのでこれも厳しい。
と思ったら光デジタルの分配器あった。。。

2分配 光デジタル オーディオスプリッター 光角型 1入力 ー 2分配 角型(オス)⇒角型(メス)×2 オーディオ分配器 電源不要 1入力2出力
2分配 光デジタル オーディオスプリッター 光角型 1入力 ー 2分配 角型(オス)⇒角型(メス)×2 オーディオ分配器 電源不要 1入力2出力

見なかったことにしようと思いましたが、、、
使えなかったレビューとかちらほらあったり、DACが安くても3000円くらいしますし、それが系統分必要になってくるのでコスト的にもちょっと重め。
DAC毎に電源が必要なのもスマートさに欠ける。
あと、AD-DA変換してる分、モノによっては遅延あるかも?

などと調べていると、「バランス伝送」というものを知りました。
バランス伝送とは簡単に言うと、逆位相の信号を同時に送って受信側で引き算してあげることでノイズを打ち消すというものです。
この手のものにあまり詳しくはないのですが、スタジオ機材や高級オーディオ等でよく搭載されているものらしいです。

バランス伝送付きのアンプや変換機の製品などはどれも高価ですが、原理は単純なので安価に自作できるはずです。
ということで作っていきます。

構成

現在のオーディオラインは下図のような構成となっています。

PCからのライン出力を机側のアンプ&スピーカーとドラム側に分けるためにオペアンプで分離しています。
分離した後の7.6mの赤線部分をアンバランス伝送から、バランス伝送に差し替えます。

ですが、一般製品でバランス出力できるもの、または変換できるものって結構なお値段するんですよね。
ということで、なるべく低価格で実現するために自作したいと思います。

バランス伝送と言えど、配線に使う線材には多少気を使いたいところ、
とは言えあまりお金もかけたくないので、何かないかと部屋を漁っていたら一般のご家庭にもよくあるノイズに強そうで適度な長さの丁度良いものがあるじゃないですか

そう、LANケーブルです。
LANケーブルをオーディオケーブルとして使うのはどうかとも思いましたが、世の中には「オーディオ用LANケーブル」なんてものも存在するらしい…
いやその「オーディオ用LANケーブル」でTCP/IPで流してるのかアナログ信号を流しているのかは知りませんけど。。。

まぁ信号線8本もあって入手性も良く、中でツイストペアしてますしモノによってはシールドもある、ので悪くないとは思います。
ということで、あとは実際に使ってみて問題なければですね。

LANケーブルのピンアサインは以下のようにしてみました。

上部が1番ピンで、R:Right P:Positive(HOT) L:Left N:Negative(COLD) のつもりです。
一応クロスケーブルを誤って使った場合を考慮してこのような形にしてみました。
クロスケーブルにも色々種類があるようで少し悩みましたが、この形であれば、
まずストレートはそのまま問題なく、100BASE-TXのいわゆるクロスケーブルであれば電源ラインが反転するだけなので互換があります。

問題は1000BASE-TとTXのクロスケーブルを繋いでしまった場合ですが、最低限壊れないようにを考慮した上で、1000BASE-Tのクロスをつないだ場合はLRが逆転します。
さらに1000BASE-TXのクロスケーブルを繋いでしまった場合はさらにHOT/COLDも反転します。
まぁHOT/COLDは反転したところで位相が逆転するくらいなので、場合にもよるでしょうけどそんな支障は無いでしょう。
まぁそもそもクロスケーブルなんざ使うなよって話ですが、万が一誤って使ってしまった場合でも壊れないようにの配慮なのでこれで十分でしょう。

パーツ集め

バランス伝送について調べていくと、使用するオペアンプは「OPA2134」が良いというような情報にたどり着きました(経緯は忘れました…)
が、これがなかなか入手性が悪い。。。
TI直販だと1$前後ですが最低1000個から、MOUSERだと1個590円(送料別)くらいからなど

調べていく中で、デジットの「平衡-平衡反転アンプキット「OPAMP_B」にOPA2134が使われているので、これで良さそうと思い単品で売ってるかは分かりませんでしたがとりあえずデジットへ、

店舗に行ってみるとカウンターに「OPA2134PA をお求めの方はスタッフまで」とのPOP
なんだよあるじゃん。
で、聞いてみたら何やら箱を手に「これにOPA2134が1つ入ってますのでこれ買ってください。1つ500円なので単体で買うよりも安いですよ」とのこと。
(因みに単体価格は共立で1430円)

その箱とは「DigiFi No.22 バランス駆動対応ヘッドホンアンプ」の付録品。
恐らくですが本体の売れ残りの掃き出し品なのでしょう。
本体が定価で5500円であることを考えると500円は破格。
この品自体、以下の記事からも良さ気な評価をされているので変に悪いものでも無さそう

バランス駆動のヘッドフォンアンプが5500円!オーディオ誌『DigiFi』の付録がスゴいことになっている|@DIME アットダイム
■連載/ゴン川野のPC Audio Lab■Introduction付録付きの雑誌は女子向けだけでなく、男子向け、さらにオーディオマニア向けにも次々と発売されている。「Stereo」が夏になるとスピーカーユニットを付録にして、ム...

バランス駆動出力できるヘッドホンアンプ・・・

あ、もうこれだけで良くね?

出力段についてはこいつだけで全部間に合いそう。
5500円でさえ破格らしいのでこれはおいしすぎると思います。

ただバランス出力用のオペアンプは付いていないとのことで、調べたらNJM4565Dでも良さそうとのことで秋月で1個30円。
(4565DBと4565DDで何が違うのだろう・・・?)
壊してしまった場合や今後も使いそうと思い10個程買っておきました。

DigiFi No.22 バランス駆動対応ヘッドホンアンプの実験 : Shio-Gのblog
デジットにてヘッドホンアンプ基盤が500円だったので購入してみました。Digifi No.22の付属のヘッドホンアンプのようです。オペアンプの交換が可能でバランス出力とアンバランス出力の両方が試せるようです。バランス/アンバランスについては...

なんなら以前雑に作ったスプリッタ回路(LM358N)も不要にできそう。
アンバランスヘッドホン出力をそのままスピーカーアンプに繋ぎます。
(良いのかは知らない。。。教えてえらいひと)

付録回路の確認

ということで(OPA2134を2個手に入れるという名目で一応)2個買いました

オペアンプにかかっている電圧は+が約13V、ーはUSBのGNDと繋がっていたので単電源のようです。
USBの5Vから昇圧しているのでしょう。
インダクタ周辺が昇圧関係の回路と思われます。

「BA RH」は恐らく 2SB1132?、であれば、PNPのトランジスタのようですね。
コレクタがオペアンプ側の+に繋がっていました。
ベースはダイオード?のようなもの、エミッタは不明。

これ、オペアンプの電源部分に直接外部電源入れちゃダメかな?USBから別途電源もってくるのが割と面倒。
流石にそのまま外部電源入れると怖いので、Q1のトランジスタを外しておきます。
ここさえ外せばまぁ大丈夫でしょう。

制作

付属回路から不要な部品を取り外す

まず邪魔な部分を取っ払っていきます。

取っ払いました

接続コネクタ

RJ45(LAN)コネクタは秋月で1個120円、変換基盤は50円です。線出しなら変換基盤は無くてもなんとかなりますが、強度と作業のしやすさの視点で一応購入。

送信側の仮組みと動作試験

あとは繋ぐだけなのでPC側アンプボックスに組み込み

とりあえず燃えないかの検証なので最低限の配線段階です。
OPA2134 は高価なので万が一を考慮して NJM4565D に差し替えています。
この状態で音出し試験してみましたが、なんかめちゃくちゃ音質が悪い。。。
とりあえず波形見てみたら一発で分かりました

入力がでかすぎて音割れてます。。。
いや、正確には安定化電源の都合で電源10Vで試験していたのですがそこに引っかかっていたのもあると思います。
いずれにせよヘッドホンアップ出力をそのままメインアンプに繋いでいることもあってか大分音が大きいので絞る必要がありそうです。

残念ながらこのヘッドホンアンプ基盤に付いているボリュームはステレオジャック入力にしか効かないので、ステレオジャック入力側に配線しなおします。

だ い ぶ ち か ら わ ざ

今思えばステレオジャックコネクタ外してしまえば良かったのですがもはや後の祭り
ともあれこれで入力ゲインを調整できるようになりましたので、余力を残すという意味も込めて10V電源で割れない程度に絞っておきます。

これでも実際に聞いてみた音は大きめなのでもうちょっと絞っても良いかもしれません。

一応正弦波も見ておきましたが、見た目は歪も無さそうで NJM4565D でも十分良さそうなので、OPA2134 はこのまま保管しておきます。

ついでにHOT/COLDの信号も確認しておきました。

きれいに反転してますね。

送信側本組み

通電しても燃える様子はなく、動作も良好そうなので配線&本組みしました。

LANコネクタはスペースがなく、かといって前に出すのも嫌だったので、不格好ですが宙ぶらりんで後ろから出しています。
まぁほぼ見えないし滅多に触らないところなので良いでしょう。

受信側の作成

調べたところINA2134が2回路入って繋ぐだけで使えそうで良さそうでした。
怪しいサイトAliExpress等でも格安で変換回路的なものが売ってましたが音質的な所とか納期の面で不安があったのでやめておきました。

INA2134使用の「平衡-不平衡変換アンプキット ゲイン1倍タイプ・2回路」がデジットで2200円。
単体なら確か1000円くらい?だったかと思いますが残念ながら品切れ、1回路のINA134は1個700円くらいですが制作の手間を考えると2200円なら良いかなと妥協しました。
ちゃんとコストダウンするならオペアンプ単体で使う所から自分で設計すべきですがまぁ手間とコストの天秤ですね。

デジットでパーツ購入後の帰りに共立シリコンハウスで、12V入力±15V出力のDCDCコンバータ(OAD1R5-1215)が250円でしたのでついでに購入。
当初は「仮想グランド電源キット」の回路コピーでも作ろうと思っていましたが、DCDCのほうがコンパクトでちゃんと±15Vが得られます。(12V入力で仮想GNDだと±6V相当)

OAD1R5-1525の出力が0.1A(100mA)、
INA2134の消費電流は最大2.9mAとのことなので十分余裕あります。

と、ここでちょっと想定外だったのが、メインアンプ電源が12Vと思っていたのが実は15Vでした。
送信側のテスト中に気づきました。
一応 OAD1R5-1215 のスペックとして入力電圧が 9~18V だったので問題なし。結果オーライでした。

ケースは3Dプリンタで良い感じ作成

そのままだと結構音が大きいので、ボリュームを付けました。

ケースをなるべくコンパクトにしたいのに対し、ボリュームが地味にサイズあるのでレイアウトに悩みましたがまぁいい感じなんじゃないでしょうか。

RJ45コネクタはケースの穴にキツめにはまってはいますが固定はされていないので、この後ホットボンドで固定します。

運用

とりあえずこんな雑い感じで使ってます。

蓋は作るのが手間なので作っていません。
しばらく使ってみて問題無さそうならアルミテープで回りを覆うついでに蓋代わりにしようと思います。

使ってみての感想としては、想定通りにノイズがなくなり綺麗な音声が届くようになりました。
が、無音時に気になるレベルのノイズがまだ残っています。
シールド&蓋していないことによるものか、TD-11とヘッドホン間のゲーブルが安物なのか、要因として考えられるポイントはいくつかありますが、対応を急ぐ程のものでもないので気が向いたら見てみようと思います。

制作費用

今回制作のために購入したパーツ類、併せて \3,630 でした。

品目価格
バランス出力対応 ヘッドフォンアンプ\500
2回路入 汎用オペアンプ ローノイズ選別品 NJM4565DD x 3\90
基板取付用LANコネクタ x 2\240
LANコネクタDIP化基板 x 2\100
平衡-不平衡変換アンプキット ゲイン1倍タイプ・2回路\2,200
DCDCコンバータ OAD1R5-1215\250
2連炭素皮膜可変抵抗器 Aカーブ 10kΩ\250
購入品

その他使用既存パーツは以下の通りです。

品目
DCDCコンバータ用電源ラインの電解コンデンサ
DCDCコンバータ用電源ラインのチップ積層セラミックコンデンサ
RCAジャック
受信側電源用トグルスイッチ
配線・ピン・コネクタ類
LANケーブル
その他使用既存パーツ

既存品も購入したとしても4000円前後といった所でしょうか。
数万円の製品を買うのと比べたらかなりコストを抑えれたと思います。

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